引き続き、エドガー・シャインの『人を助けるとはどういうことか』について書きます。
今回はまとめとして、本書で紹介されている原則を紹介していきます。
原則 1: 助ける側も助けられる側も準備が必要
これまで述べたように、人助けがおせっかいにならないためには、助けることが一方的な行為になってしまってはなりません。
助ける側も助けられる側も、本当に助けを必要としているのか、どのような助けを必要としているのか、考えることが重要です。
助ける側は、どのような意図をもって助けようとしているのかを自問し、助けが受け入れられない可能性もあるということを理解しておかなければなりません。
原則 2: 助ける人と助けられる人は公平であるべき
助けられる人は、心理的に低い位置に立つことになります。
助ける側と助けられる側に心理的な差異があると、助けられる側は自身の課題やニーズを率直に伝えられないかもしれません。
助ける側は、助けられる側の本当のニーズを知るために、関係を築かねばなりません。
原則 3: 助ける側が適切な役割を演じること
助ける側の態度には大きく三種類あります。
アドバイスを与える専門家としての態度、問題を分析して解決策を提示する医者のような態度、そして相手自身に問題や解決策を見つけさせるプロセス・コンサルテーションの態度。
まずはプロセス・コンサルテーションの態度で相手との関係を築き、それから専門家あるいは医者の態度に移るという、これら三つの役割の適切な使い分けが重要です。
原則 4: すべての言動がこれからの関係に影響する
助けるという行為は、互いの信頼があってはじめて意味のあるものになります。
信頼はあらゆる言動によって形成される可能性があれば、壊される可能性もあります。
このことを意識し、できる限り中立的な表現を使っていくことが望ましいです。
原則 5: 純粋な問いかけから始める
相手の真のニーズを知るためには、あらゆる先入観を排除することが理想です。
自分が何も知らないかのように、相手に問いかけることから始めましょう。
原則 6: 問題は助けられる側のものである
問題はあくまで助けられる側の人がもっているもので、それを一人称的に理解することは不可能です。
たとえ自身が抱えたことのあるのに似ている問題だとしても、相手の問題は自分のものとは違うと考え、性急な判断は慎まなければなりません。
原則 7: あなたはすべての答えをもっているわけではない
あらゆる問題に対して答えを提示できるはずはありません。
本当に相手を助けるためには、自身にできることには限界があるということを認めることが必要です。
場合によっては、助けになれないということを相手に伝えるほうが、相手にとってもよいかもしれません。
これらの原則を常に意識するのは難しいことですが、日常の中で一つひとつ実践していくことで身につけていきたいものです。