前々回、前回と、失敗から学ぶことの重要性について『Right Kind of Wrong』というベストセラーを紹介しつつ書いてきました。
今回は少し軽めの話題として、私自身の失敗の事例を紹介したいと思います。
これは、本来なら避けるべき単純な失敗であり、しかも役立たせられるような事態に遭遇する人が日本に一人でもいるのかというくらい特殊な事例かもしれませんが、どうぞお付き合いください。
ビザをとらないままブラジルに飛ぼうとする
どのような失敗かと言うと、「ブラジルに行かなければならないのにビザを取り損ねた」というものです。
日本のパスポートは世界中のほとんどの国や地域にビザなしで入国できる大変強力なものですが、数少ない例外の一つがブラジルでした(なお、2019年以降は他の多くの国と同様、短期であればビザは不要になりました)。
しかし、初めてブラジルに仕事で行くことになったとき、私はそのことを知りませんでした。
ブラジルは初めてだったのでざっとガイドブックを見たのですが、入国案内のページにはビザの説明がなく(当然ですが、他のページにちゃんと書かれていました)、それ以上は深く調べませんでした。
そのまま航空券を購入し、ホテルも予約し、アルゼンチンとウルグアイも含む3か国への出張に旅立とうとしました。
ところが、成田空港で搭乗手続きをしようとしたところで「ビザを見せてください」と言われたのです。
そして初めてブラジルにはビザが必要だと知りました。
カウンターの担当者もびっくりしていました。
ルフトハンザ航空でドイツ経由だったので、「ドイツまでは行けますが……」と言われましたが、そんなことをしてもブラジルに入れなければ意味はありません。
仕方なく、そのフライトはキャンセルしました。
どうやってビザを早く取得するか?
しかし、2週間近い出張の行程を無駄にするわけにはいきません。
それに、月曜に「ビザを取り損ねて出張に行けませんでした」と言って出社する事態は何としても避けたい。
なんとかならないものかと、帰宅する電車の中で必死に情報を探しました。
すると、観光名所であるイグアスの滝では比較的短期間でブラジルのビザが取れるという情報がありました。
しかし、そもそもイグアスの滝に行くのが大変で、前後の行程を考えるとちょっと現実的ではありません。
しかし、南米の近隣の国でビザを取る方が早そうだということが分かったため、その線で検討を進めました。
すると、ウルグアイのモンテビデオでは2〜3日でビザが取れるらしいという情報がありました。
幸いなことにモンテビデオには旅の後半で行く予定があり、もしそのアポを旅の最初にずらすことができればうまくいくのではないか、という考えが浮かびました。
モンテビデオのブラジル領事館は仕事が早い
そこから大急ぎで、とりあえずモンテビデオまでのフライトとホテルを予約し、ウルグアイの訪問先とブラジルで最初に訪問予定であった顧客に日程変更の打診をしました。
土曜日だったので当然返信は来ませんでしたが、翌日曜のフライトで日本を発ちました。
月曜の昼過ぎにモンテビデオに到着し、そのままブラジル領事館に直行して何とかその日のうちにビザの申請をしました。
もう10年以上前のことなのではっきりと覚えているわけではありませんが、申請のときにはパスポートのほか、ブラジルの行き帰りの航空券のeチケットを印刷したものだけ提出すればよかったと思います。
本当にビザを取得できるのかと大変不安なままウルグアイで過ごしましたが、モンテビデオの顧客が打ち合わせの日程を早められるという連絡をくれ、またブラジルの訪問先とも日程の再調整ができました。
そしてビザ申請時に指定された日(申請の2日後だったと思います)にブラジル領事館を訪問してみると、返却された私のパスポートにはビザが貼られていました。
この一件以来、海外に行く時には必ずビザの要不要をチェックするようになりました(ちなみに、キャンセルした航空券の代金は勉強代と思って自腹で支払いました)。
「渡航直前にビザを取得できていないことに気がついた」という類まれな方は、ぜひ近隣国で2〜3日過ごすという手を検討してみてください。