企画書づくりの意義と方法【エクセルテンプレートあり】

新しい商品をつくる。
新しい販路に挑戦する。
設備投資をする。

こうした場面で使われるのが「企画書」です。
「企画書」という言葉はビジネスの世界でよく耳にしますが、企画書を作成したことがあるという人は案外少ないかもしれません。
大企業はともかく、多くの中小企業では、プロジェクトを立ち上げて新しい取り組みをするとしても、とくに企画書はつくらず、会議や打ち合わせの中で合意形成と事業推進をしていくことが多いようです。

ですが、企画書は、上司に提出するためだけの書類ではありません。
自分たちの頭の中を整えて、意思決定の質を上げるための「思考の道具」でもあります。

目次

企画書づくりのメリット

企画書をつくるのには多少時間がかかりますが、それ以上に多くのメリットがあります。

メリット1:目的が言語化され、ブレにくくなる

企画がうまく進まない理由の多くは、やりかた以前に「目的が曖昧」なことです。
企画書に「目的」という欄があれば、それを書こうとする過程で「結局なにを達成したいのか」ということを考えざるをえなくなります。

売上なのか、利益なのか、作業時間の短縮なのか。
それとも、その先の、顧客の満足なのか。

目的を端的に書けると、途中で出てくる迷いがかなり減ります
目的がよく分からないままプロジェクトをはじめても、どこにもたどりつけません。
「何をするのか」ではなく「何のためにするのか」から考えるきっかけとして、企画書は役に立ちます。

メリット2:目標が具体化され、手段を考えられるようになる

頭の中にある企画は、だいたいぼんやりとしています。
当社はコンサルタントとしてクライアントに「計画はありますか?」と問うことはよくありますが、経営者から「頭の中にはある」という答えが返ってくることは本当に多いです。
半分以上はこうした答えが返ってきます。
そこで、その計画の具体的な中身を質問してみても、「それは考えていなかった」とか「やりながら考えればいい」といった答えが返ってくることがほとんどです。

これでは、具体的な行動が起こせません。
それに、経営者が計画をもっていないのであれば、従業員が期待通りに動けないのは当然です。
そもそも何が期待されているのか分からないのですから。

企画書には、具体的な行動計画までは描かれていないものですが、少なくとも「目標」や「方針」は書かれています。
目標があるだけでも、みなが「その実現のために何をするべきか」と具体的な行動を考えられるようになってきます

メリット3:数字が入ることで、現実味が出る

勢いだけで企画をはじめても、途中で息切れします。
中途半端に進んでそこで終わりとなったら、無駄に時間とお金を消耗するだけです。
企画を立てるなら、それが金銭的にもメリットを生むこと、利益を生むことを、しっかり見通しておくべきです。

企画書に経費の予算と、見込める売上高を書きながら考えていけば、「そもそも利益が出ない企画をはじめてしまう」といったリスクを回避できるようになります。
苦しい場面になっても、それを乗り切ればどういう結果が待っているはずかを想像できるので、粘り強く挑戦できるようにもなります。
リスクを避けるため、また、実行力を高めるため、数字のある企画書を作成しましょう。

メリット4:企画の骨格を繰り返し考えることで実現性を高める

「企画書」と似ているものとして、「計画書」というものがあります。
計画書は数字もアクションも細部まで描いたもので、設備投資などの場合は金融機関に提出するなど、外部に見せることもあります。
これに対して企画書は、あらたな取り組みをするときの最初の枠組みを考え、仮説を設定するためのものです。
このように、企画書は事業のコンセプトや目的に重きを置き、計画書は具体的な数字やアクションに重きを置くという違いがあります。

ここで大事なのは、まずはコンセプトや目的を設定したうえで、具体的な計画に進むべきだということです。
具体的な計画を立てても、もしコンセプトや目的を変更することになれば、一からやり直しです。

コンセプトや目的というのは事業や商品の核なので、よくよく時間をかけて練り上げるべきです。
コンセプト・目的の案をつくり、具体的な計画を考えて、それでどうもうまくいかなそうだからあらためてコンセプト・目的を問い直して、……とやっていると、大変効率が悪いです。
コンセプト・目的の案をつくったら、その段階で、そのコンセプト・目的を吟味するべきです。
そうして納得のいくコンセプト・目的ができ、関係者からある程度の合意が得られたら、計画書の段階に進みます。
計画書にもコンセプトや目的は書きますが、計画書作成のプロセスの中では、コンセプトや目的は「すでに決まっているものを書き写すだけ」といった程度になるべきです。

上記のような、コンセプトや目的を吟味するのは、企画書の役割です。
企画書はボリュームが小さいからこそ、何度でも書き直して、納得のいく事業・商品の骨格をつくるのに役立つのです。

メリット5:振り返りができ、次の企画が強くなる

企画の価値は、実行後にもあります。
当初の狙い、数字、スケジュールが残っていれば、振り返りができます。
振り返りの中で、何が当たり、何が外れたのかを確認し、その原因を突き止められれば、次の行動に活かすことができます
このように学びを蓄積できる組織は、次の企画が速く、強くなります。

企画書テンプレート

当社は、コンサルタントとしてクライアントの事業をお手伝いする中で、クライアントが企画書をつくるのをサポートすることもあれば、クライアントへのサポートの内容を考えるための企画書をつくることもあります。
今回は、よくクライアントにお渡しして一緒に作成することがある企画書のテンプレートを紹介します。
A4用紙1枚のサイズのものです。

本ページ下部からダウンロードできるので、一読のうえ、試してみてください。

企画書フォーマット

この企画書テンプレートは、以下のような順番で書いていきます。

1.コンセプト

企画の特徴を、端的なフレーズで表現します。
自分だけでなく周囲の人や顧客にも分かりやすいように、多くても50文字程度で、本当にポイントとなることに絞ったフレーズにするとよいです。
コンセプトは何度も書き直してよりよいものにしていくといいので、最初はあまり頭を悩ませる必要はありません。
企画書を書き進めると、企画の特徴がより明確にイメージできるようになるため、その段階で必要に応じてコンセプトを修正するとよいです。

2.目的

コンセプトと同時に考えるべきなのが、その企画の目的です。
基本的には、何かしらの顧客の課題・社会の課題を取り上げ、それを解決することが目的となるでしょう。
ただし、現場改善とか人事制度構築といったような社内的なプロジェクトであれば、課題も社内の誰かのものになります。
いずれにせよ、「誰にどのように貢献するのか」と自問しながら考えるとよいです。

3.目標

その目的のもとで具体的にどのような状態を実現するのか、目標を設定します。
目標は、よく言われることですが、SMARTという枠組みでチェックするといいです。

Specific(特定されている)

たとえば「業績改善」という言葉を聞いても、人によって売上高を想像したり利益を想像したりと、ブレがあります。
まずは「何について」の目標なのかを明確にします。
悪い例:顧客満足度を高める(「顧客満足度」と聞いても人によって想像するものが違うかもしれない)
よい例:顧客アンケートの「満足」の回答率を高める

Mesurable(測定できる)

目標は、達成したかどうかが分からないと、どこまでやればいいのかと迷ってしまいます。
誰の目にも達成状況を明らかにするには、極力数字で目標を描いてみてください。
悪い例:顧客アンケートの「満足」の回答率を高める(どのくらい高めるのか人によって解釈が違うかもしれない)
よい例:顧客アンケートの「満足」の回答率を100%にする

Achievable(達成できる)

どう頑張っても達成できないような目標は、かえってモチベーションを下げてしまいます。
現状維持では達成できないけれども、「努力すれば達成できそうだ」というくらいのレベルの目標が理想です。
悪い例:顧客アンケートの「満足」の回答率を100%にする(すべての顧客に満足してもらうことはさすがに不可能)
よい例:顧客アンケートの「満足」の回答率を80%以上にする

Relevant(関連がある)

目標は「なぜそれを目標にするのか」ということの説明がないと、モチベーションを生まないですし、達成しても意味がないかもしれません。
目的と関連した目標になっているか、確認してください。
悪い例:(企画の目的の中に顧客貢献がない中で)顧客アンケートの「満足」の回答率を80%以上にする
よい例:(企画の目的として顧客貢献を掲げたうえで)顧客アンケートの「満足」の回答率を80%以上にする

Time-bound(期限がある)

目標達成の期限が明確でないと、ある人は今月達成しようと躍起になるのに、ある人は「3年後でいいや」とのんびりしているかもしれません。
悪い例:顧客アンケートの「満足」の回答率を80%以上にする
よい例:事業開始第1期末の顧客アンケートの「満足」の回答率を80%以上にする

4.現状

目標に対し、現状がどの程度の状態なのかを分析します。
目標を設定しても現状が分からなければ、その目標を達成するための適切な策を選べないかもしれないからです。
「東京ドームに行く」という目的地を設定しても、「今どこにいるのか」が分からなければ、どちらに向かって歩き出せばいいのか、電車に乗るべきなのか地下鉄に乗るべきなのかなど、具体的な行動が決まりません。

先ほどの顧客満足度の例なら、現在の顧客満足度の数字を押さえます。
もしすでに75%くらいあるなら、少しの努力で到達できそうです。
しかし50%しかないとしたら、抜本的な改善が必要でしょう。

5.方針

目標と現状を明確にしたら、そのギャップを埋めるためにどのように進むのか、大まかな方針を考えます。
これは企画書で、計画書ではないので、あまり具体的でなくても構いません。
その方針が正しそうかどうかを検討し、議論し、評価することが企画書の目的です。
必ず押さえるべき前提条件やこだわりのポイントなど、最重要のことに絞って書いてみてください。

もし顧客アンケートでの満足率80%を目指していて、現在75%なら、「満足度が高い顧客への商品・サービスを横展開する」といったような、もともとの満足度の高さを活かした方針や、「満足度が低そうな顧客に対するサポートを従来より1回多く実施する」といったような取りこぼしをなくすような方針がよさそうです。
一方で、もし現在の満足率が50%しかないとしたら、「なぜ顧客は満足してくれていないのか」「顧客は何を求めているのか」「類似の商品・サービスで満足度が高いものはないか」といった、根本的なところから取り組むような方針になるでしょう。

6.実行項目

方針を立てたら、その方針に沿って、実行すべき重要な項目を挙げていきます。
「方針」の欄に書いた項目1つにつき1つから3つくらい、主要な取り組みを挙げていけばよいです。

計画書に書く実行項目はせいぜい1週間以内で終わるくらいの具体的なタスクにまで分解することをお勧めしていますが、企画書の場合は紙面の制限もありますし、これほど細かくする必要はありません。
企画の大きさにもよりますが、目安として、1か月以内で終えられるくらいの大きさの実行項目を挙げていくとよいと思います。

「顧客が求めているものを知る」という方針であれば、「市場レポートなどの文献を調査する」「顧客を数名ピックアップしてヒアリングをする」「調査会社にアンケート調査を実施してもらう」といったことが実行項目の候補になります。

7.予算

最後に、予算を考えます。
「どのくらいの経費がかかるのか」という経費の予算を設定することはもちろんですが、「どのくらいの売上が立つのか」という収益面の見通しもセットで考えます。
もし、利益を求める企画なのにこの時点で赤字が見込まれるようなら、その企画は筋が悪そうなので、かなり修正しなければなりません。
利益が出そうなら、複数名でディスカッションするなり、専門家に相談するなり、あるいは生成AIに読ませてコメントをしてもらうなりして、企画の精度を高めつつ前進していきます。

なお、経費の項目が多い企画や工数が多い企画の場合は、すこし違うバージョンとして、以下のような企画書を使っています。
実施項目ごとにどのくらいのコストがかかるのか概算していくようなテンプレートです。

企画書フォーマット(費用・収益テーブル版)

企画書テンプレートのダウンロードリンク

これらの企画書のテンプレート(エクセルファイル)は、以下のリンクからダウンロードできます
ご自身の状況に合わせて適宜項目を調整しながら使用してみてください。

また、参考に、当社が最近始めた「農家のCFO」という財務コンサルティングパッケージの企画書を例として掲げます。
本当は手書きして、部分的に何度か書き直したのですが、読みにくくなってしまったので書き直したあとのものを掲示します。
これはもともと考えていたものを一度企画書として書き出してみて整理し、あとはとりあえずのサービス紹介ページまで1日で一気につくった企画です。
このように短期的なプロジェクトでも、企画書を書いてみると、迷いなく効率的に進められるようになります。

企画書サンプル

企画に慣れていないかたも、一度このテンプレートに向かって、考えを書き出してみてはいかがでしょうか。

シェアはご自由に
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次