ここ数日、毎晩散歩をしています。
蛍を見るためです。
昨年福井に移住し、12月に永平寺のほど近くの谷間の集落に住み始めました。
集落を通る川沿いにホタルが見られるとのことだったので、6月になってからほとんど毎晩のように近隣を散歩しています。
はじめは、家のすぐ近くの小さな用水路にたくさんの蛍が集ってましたが、数日経つとそれが指折り数えるほどにまで減り、代わりに、川沿いに飛ぶ光の筋が日に日に増していきました。
それがおそらく数日前にピークを迎え、日を追うごとに、少しずつ減っているように思います。
せっかくなので、1匹も見られなくなるまで、できるだけ毎日探し歩きつづけようと思います。
こうして歩いている時間はとくに仕事をするわけでもなく、言ってみれば非生産的です。
毎日1時間歩くよりは資料づくりや調査をしたほうが人の役に立ち、お金にもなります。
しかし、この時間は無駄ではない、あるいは無駄にしてはならないと思います。
蛍を見る余裕がないようでは、よい仕事はできないし、満足な暮らしはできない気がする。
もともとこの地に住んでいるかたがたにとっては、蛍がいるのはあたりまえのことなのでしょう。
毎晩見歩いている私たち家族にとっても、それはあたりまえのことになってきました。
それでも、そのあたりまえのことを楽しみに生活する余裕をもつこと。
「あたりまえ」に慣れないで生きていきたいものです。