逆算をするには、論理を極力丁寧に正確に構築していくことが必要です。
そのためのコツとして、アウトライナーを使用することをおすすめします。
アウトライナーの使用方法等についてはこちらの記事を参照してください。
論理を構築していく上で重要なのが階層の概念で、それを大変見やすく取り扱えるのがアウトライナーの強みです。
階層で考えるということは、同じような抽象度のものは同じ階層で考え、抽象度が異なるものは異なる階層で考えるということです。
複雑なものを分解するときには「階層」をそろえる
それこそ抽象的な議論では分かりにくいので、具体的に話をしてみると、例えば「昆虫」という言葉と「カブトムシ」という言葉を同じ階層で扱わないといったような話です。
昆虫とカブトムシでは抽象度が異なります。
カブトムシはたくさんの種類のある昆虫の中の一部であって、例えば動物というカテゴリーの中に昆虫とカブトムシが同じように存在しているわけではありません。
カブトムシというのは特定の昆虫の種類ですが、昆虫という名前の昆虫はいません。
階層構造で表すと、以下のようになります。
- 動物
- 昆虫
- カブトムシ
- 昆虫
(もちろん、もっと正確には「界門綱目科属種」の(あるいは亜種なども含めたさらに細かい)分類がありますが、ややこしくなりすぎるので省略させてもらいます。)
論理的に考えていこうと思ったとき、こうした物事の階層を意識することが重要です。
昆虫とカブトムシの例は目に見えるものを扱っているので比較的分かりやすいですが、これが目標からの逆算という抽象的なことになると途端に難しくなります。
目標の分析の実践例
ここでは例として「英検2級を取得する」ということを目標にして、そのためにどのような準備をするかということを逆算で考えていくとしましょう。
もし、以下のように、「英検2級を取得する」という最終目標の一つ下の階層に、仮に「文法を学ぶ」というものと「過去問を解く」というものが同居していたとしたら、階層が正しく整理されていません。
不正確な階層構造の例
- 英検2級を取得する
- 文法を学ぶ
- 過去問を解く
ある程度慣れてきて簡易的に逆算を行うというのでしたらこれでよいでしょうが、大きな要素を小さな要素に論理的に分解していく練習をするのであれば、もっと厳密に考えるべきです。
「文法を学ぶ」ということと「過去問を解く」ということがどのような関係にあるのかは、目標の分解の仕方にもよりますが、たとえば「過去問を解く」ことは「文法を学ぶ」ことの具体的な手段のうちの一つというふうに位置づけることもできれば、「文法を学ぶ」ことは「英語の能力を高める」というカテゴリーの中に位置するものであって、「過去問を解く」ということは「英検の対策をする」といった別のカテゴリーの取り組みの一つとして位置づけることもできます。
修正後の階層構造の例1
- 英検2級を取得する
- 文法を学ぶ
- 過去問を解く
- 教科書・参考書を読む
- …
- 文法を学ぶ
修正後の階層構造の例2
- 英検2級を取得する
- 英語の能力を高める
- 文法を学ぶ
- 語彙を学ぶ
- …
- 英検の対策をする
- 過去問を解く
- 合格者の勉強方法を調べる
- …
- 英語の能力を高める
そんなに細かいことを考えなくてもよいではないかと思われるかもしれませんが、こうした分析ができるのにあえて省略をして論理を構築するのと、分析ができないから崩れた論理になるのとでは、わけが違います。
分析がうまくできないと、論理を確実に組み立てねばならない場面で失敗してしまうリスクが大きくなります。
それに、できる人から見れば、論理的な能力が不足しているということは簡単に見抜かれてしまいます。
能力が足りないと判断されれば、レベルの高い仕事を任せてもらえないかもしれません。
難しい問題や目標を分解することになった時のために、段階を踏んで一つずつ要素を分解していくトレーニングをしましょう。
以下に参考として、英検2級に合格するという目標を分解した例を提示します。
もちろん、これが正解というわけではありませんし、この分解の仕方が甘いと考える方もいらっしゃるでしょう。
ただ、このくらいの分解ができるようになっていれば、分析スキルとしては一旦十分だと考えてよいと思います。
- 英検2級を取得する
- 学ぶべきことを見極める
- 試験の概要を理解する
- 試験要項を読む
- 知識が足りない分野を見極める
- 出題範囲を確認する
- 過去問を解く
- 効率的な学習方法を知る
- 合格者の学習方法を調べる
- 試験の概要を理解する
- 英語の学習をする
- 語彙を学ぶ
- 知らない表現をノートに記録する
- 単語集・熟語集を進める
- 文法を学ぶ
- 文法問題集を進める
- 作文の添削を受ける
- 発音を学ぶ
- 発音問題集を進める
- リスニング問題集を進める
- 語彙を学ぶ
- 英検受験の準備をする
- 申し込みをする
- 受験料を支払う
- 試験当日の段取りをする
- 学ぶべきことを見極める
各階層の項目が、一つ上の階層の取り組みを実行するための具体的な手段になっています。
このように目標を具体的に分解することで、必要な準備や取り組むべきステップが明確になります。
目標達成に向けて効率的に進むために、逆算と論理的な階層構造を活用してください。