生成AIで事業計画をつくれるか?
生成AIを事業開発に活用することは、いまでは当たり前のように行われています。
しかし、事業開発の経験がなければ、生成AIをどのように使って事業計画をつくればいいのか分からず、期待通りのアウトプットが得られないかもしれません。
このようなとき、「事業計画をつくるステップを教えてください」と生成AIに質問するのが、生成AIを使いこなすうえで大事です。
つまり、「答え」を訊くのではなく、「やり方」を訊くのです。
やり方を教えてくれる(提案してくれる)のが生成AIによって可能になった大きな一歩で、その自由度の高さを活用しない手はありません。
とは言え、生成AIにやり方を教えてもらうにも、いろいろとコツがあります。
そうしたコツはまた機会があれば解説するとして、今回は生成AIを使って事業計画を作成するための実践的かつ具体的なプロンプトを紹介します。
なお、ここで紹介するプロンプトはChatGPT 5でテストしていますが、その他のモデルやGeminiなど別の生成AIでも同様に使えるはずです。
以下のプロンプトは一つのチャットの中で一連の指示として使用してください。
ステップ1.顧客設定
まずはマーケティングの基本的なステップにのっとって、顧客ターゲティングから考えてみましょう。
ニーズを把握するために、顧客ペルソナを設定します。
生成AIは個人や会社などの事情に流されず、客観的な顧客ペルソナを設定してくれるので、大変効果的です。
具体的なプロンプトとしては以下のようなものを使います。
○○を開発するうえでの顧客ペルソナを設定したうえで、開発する商品・サービスを利用する前のそのペルソナの日常的な一日を描写し、開発する商品・サービスで解決すべき主要な課題や不満をリストアップしてください。
ステップ2.商品設計
顧客ペルソナとそのニーズが提案されたら、そのニーズを満たすための商品づくりと、認知獲得のための宣伝広告等の施策案をつくります。
プロンプト例は以下の通りです。
顧客ペルソナの課題や不満を踏まえたうえで、そのニーズ・ウォンツを満たす商品の「コンセプト」「基本的な仕様」「認知獲得方法」を提案してください。
ステップ3.タスク設計
誰に何をどのように届けるのかの大枠ができたら、その実現に向けた具体的な実施項目を考えていきます。
以下のようなプロンプトを使えば、生成AIは百戦錬磨のコンサルタントでも比べ物にならないほどの短時間で、慣れていない人だと時間をかけても見落としがちなものまで含めたタスクリストを作成してくれます。
この商品を開発し顧客に提供するために必要なタスクを網羅的に抽出してください。タスクは階層構造にしたうえでタスクごとに「コスト」と「必要労働力」を算出し、テーブル形式でアウトプットしてください。
ステップ4.財務モデル作成
事業計画では数字をしっかりとつくることが大事なのは言うまでもありません。
生成AIとの対話だけだと、どうしても自社や市場環境の具体的な制約を加味した財務モデルをつくることは困難なので、人の手を加えることが必要です。
しかし、ChatGPTはエクセルファイルも作成できます。
生成AIに事業の内容に応じたシミュレーションを行えるエクセルファイルを用意してもらえば、財務モデル作成の効率が大幅に上がります。
プロンプト例は以下の通りです。
この事業の財務モデルを作成し、エクセルファイルとしてダウンロードできる形でアウトプットしてください。財務モデルは商品1つあたりの単価および変動費と、事業全体の固定費をそれぞれ入力することで、損益分岐点が求められるものにしてください。初期値として、類似の事業の平均的な値を検索してください。
ステップ5.計画書作成
ここまでの流れを踏まえた計画書を生成AIに作成してもらいます。
以下のようなプロンプトを使用して、項目については必要に応じて追加・削除してください。
また、ワードファイルなどでアウトプットしてほしい場合は、その旨も追記しておくとよいです。
この事業の計画書を作成してください。計画書の項目は「経営概要」「事業の目的」「事業コンセプト」「財務目標」「顧客ターゲットと提供価値」「宣伝広告・販売方針」「タスクおよびスケジュール」としてください。
サンプルチャット
ここまでの一連のプロンプトを試したチャットを用意しました。
以下のリンクからご覧ください。
https://chatgpt.com/share/68f0a6e8-10cc-800b-9acc-0cd054d3a167
ただし、エクセルファイルなどは期限があるのでダウンロードできないと思います。
実際に使うときには生成AIからのアウトプットを確認しつつ、必要に応じて修正を依頼するプロンプトを投げかけながら進めていきますが、共有したチャットのように、上記で紹介したプロンプトを与えるだけでもそれなりのものにはなります。
生成AIでどの程度のことができるのかを知るために、これまで試したことがないようでしたら、ぜひ一度試してみてください。