改善の見込み金額をざっくりと見積もっておけば迷いを減らせる

本を読んだり人から話を聞いたりして、設備投資や新しい仕組みの導入に魅力を感じることはよくあります。
行動力のある人はよいと思える情報があれば片っ端から試していくでしょうし、慎重な人はその取り組みにどのようなメリットがあるのかを考えて、結局何もしないということもありえます。

これらの両極端の考え方には、それぞれロジカルな面があります。
新しい取り組みが成功するのかどうかや、そのために実際にどのくらいのコストがかかるのかは、実際にやってみないと分からない場合がほとんどです。
それでも、不確実性を多少なりとも軽減したい。
そのためには、できる限り情報を集めたり、最悪のパターンでのシミュレーションを行ったりすることが有効です。
しかし今回は、個々の改善の効果を評価するためのテクニックはいったん横において、「どの領域の改善に取り組むべきか」を判断することの重要性について書きたいと思います。

どのような改善の取り組みでも、その効果がランダムにしか発揮されないとしたら、何に取り組もうと同じことになるでしょうか?
そんなことはありません。
取り組みが最大限にうまくいったときの効果には、上限値があります。

たとえば、燃料費の削減に取り組むか、それとも材料費の削減に取り組むかを検討しているとしましょう。
現在の燃料費が1,000万円であるのに対し、材料費が3,000万円だったとします。
この場合、仮に実現可能な削減幅が10%だとしたら、燃料費の削減に取り組んでも効果は最大100万円にしかなりませんが、材料費の場合は300万円まで削減できる可能性があります。
燃料費と材料費では削減できる割合が異なるでしょうが、それでもこの例の場合に両方の削減効果が同じとなるには燃料費の削減割合が材料費の3倍なくてはなりません。
もともと材料費をかなり削減してでもいない限りは、改善率に3倍もの差が生じることはほとんどないでしょう。
そうであれば、この事例の場合は材料費の削減に取り組むほうがよいということになりそうです。

何に取り組むか迷っているなら、主要なすべてのコストについてどのくらいの削減ができそうなのか、直感的な評価で構わないので金額を出してみることをおすすめします。
そうすることで、「この領域については後回しでいいか」といったざっくりとした判断ができます。
同様に、売上の拡大についても「この顧客向けのこの商品は最大でいくらくらいの売上が見込めるか」といったように、ざっと改善の金額を見積もってみるとよいでしょう。
この一手間をかけておくことで、迷いや不安がかなり軽減されます。

改善の取り組みにおいて、どの領域に焦点を当てるべきかを数値で評価することは、より効率的で効果的な経営を実現するための重要なステップです。
コスト削減や売上拡大の可能性を直感的な評価で数値化し、優先順位を付けることで、資源を最大限に活用し、成功の確率を高めることができます。

以下のステップで取り組みを進めてみてください:

  1. 主要なコスト項目をリストアップ:燃料費、材料費、労務費など。
  2. 各項目の現状のコストを把握:実際の数字を確認。
  3. 削減可能性の評価:直感的にどのくらいの削減が可能かを見積もる。
  4. 削減効果の金額を計算:コスト削減額を算出。
  5. 優先順位の設定:効果の大きい順に取り組みを決定。

このようにして、改善の取り組みを数値で評価し、最も効果的なアプローチを選択することができます。

シェアはご自由に
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!