『人を助けるとはどういうことか』――組織運営のポイントとなる4つの問い

前回に引き続きエドガー・シャインの著書『人を助けるとはどういうことか』(原題:Helping)を少し紹介します。
本書では他者を「助ける」というコミュニケーションにおいて、相手のことを理解し、その課題や目的を把握することから始めるべきだというプロセス・コンサルテーションの考え方が提唱されています。

この考え方をチームとして仕事をする場合に適用する際には、以下の4つの問いに対する答えを見つけることが大事だとシャインは語ります。

  1. 私の役割は何か
  2. 組織の中で私はどれだけの影響力をもつか
  3. 私の目的やニーズはこのグループの中で満たされるか
  4. このグループはどのくらい互いに親しくなるか

組織の中でメンバーが高いモチベーションを持って行動をできるようになるためには、一人一人がこれらの問いに対して納得のいく答えをもっていることが理想です。

大事なのは、これらの問いに対する回答が、リーダーから与えられるものではなく、メンバー自身が見つけ出すものだということです。
もちろん、リーダーの態度によってこれらの問いに対する回答が大きく異なることはあります。
しかし、その場合も、あくまでこれらの問いに対する答えはメンバー自身が見つけ出したものです。
メンバー一人ひとりがどのような答えを見いだすかを完全にコントロールすることはできません。

たとえば、リーダーがあるメンバーに対して「材料の調達は任せる」と言ったとします。
こうした発言をしながら、そのメンバーの提案に対していちいちリーダーが否定したとしたら、「組織の中で私はどれだけの影響力をもつか」という問いに対するそのメンバーの答えは、「材料の調達についての権限はもたない」というものになるでしょう。

もちろん、任せるのがいつも正解というわけではありません。
大事なのは、リーダーや他者から見たときの評価と自己評価が食い違うものだということです。

もしあなたがグループを率いる立場にあるなら、メンバー一人ひとりの立場で、上記の問いに対してどのような答えがありえるかを自問してみてください。
本当に相手の立場に立つことは難しいので、ときには本人や第三者に意見を求めてみてもよいでしょう。

そして、リーダーが上記4つの問いに対する自分自身の答えをもつことも必要です。
どのようなリーダーになりたいでしょうか?
どのような組織であるべきでしょうか?
それを思い描きながら、自身の答えを探してみてください。

シェアはご自由に
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!