メタファーで事業のアイディアを生みだす

アイディアとは既存のものと既存のものの新しい結びつきである、ということがよく言われます。
二つ以上のものを組み合わせることは、発想の基本でしょう。
自身の取り組みを表す言葉と、それを形容する言葉を組み合わせてみてください。
そこから何かしら新しい発想が生まれるかもしれません。

たとえば、「経営」という言葉。

経営者や経営幹部であれば、常日頃から意識し取り組んでいることだと思います。
これに、何か別の言葉を組み合わせてみる。
「机」とか「自動車」とか「植木鉢」といった名詞でも、「大きい」とか「軽やかな」とか「真っ赤な」といった形容詞でも、なんでも構いません。

「植木鉢経営」。

なんだかよく分かりませんが、この言葉が何を表しているだろうかと考えてみる(こじつけてみる)と、経営のかたちが想像できてくるかもしれません。

たとえば、植木鉢に植えられた木は、大きくなることはできませんが、大事に育てられるものです。
そのように、規模拡大・売上拡大を目指すのではなく、特定の領域にしっかりと根を張って健全かつ健康に持続する経営を、植木鉢経営と呼ぶ。

あるいは、植木鉢の木は、持ち運ぶことができます。
本来ならその種の植物が存在しない土地に、ある程度の大きさまで育った植物を持ち込むように、別の国や地域のモノやコトをオリジナルに近い形で自身の商圏に持ち込む経営を、植木鉢経営と呼ぶ(これは、タイムマシンというモデルですが)。

このように、自身の営みを、さまざまな言葉と組み合わせてその意味を問うてみると、新しい発見があるかもしれません。

私はこれを勝手に「メタファー経営」と呼んでいます。
メタファーというのは暗喩(比喩の一種で、「~のようだ」といった比喩であることを示す表現を使わないもの)の英語で、とくに英語にする意味はありませんが、このメタファーという言葉が好きなのでこう呼んでいます。
いろいろなものをメタファーとして経営に結び付けてみると、ふだんは考えないような発想が生まれます。

私の経営のメタファーは「地図づくり」です。
地図というのは偉大な発明で、地図をうまく読むことができれば、初めて訪れる土地であってもあたかもその土地で生まれ育ったかのようなルートを選択することができます(そしてグーグルマップはときどき「本当に車で通れるのか?」と不安になるような道を案内してくれます)。

経営や、あるいはもっと広く人生において、人が自分自身の目的や理想に向かうための地図をつくるお手伝いができればと思っています。

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