農業経営の財務を学ぶ次の一歩におすすめの参考書

財務管理を苦手とする農業経営者は多いと思いますが、逆に言えば、それが得意となるだけで他の農業経営者の一歩先を行くことができます。
とくに新規参入者の方ほど、何かしら強みをもっておきたいものです。
数字に強いということは、経営をする上で非常に大きな強みになります。

以前、農業の財務管理を学ぶ最初の一歩となる参考書をいくつか紹介しました。
今回は、財務管理が得意だと自信をもって言えるようになるための参考書を紹介します。
道のりは少し険しいかもしれませんが、ここを乗り越えれば「以前の自分はこんなこともわからずに経営をしようとしていたのか」と驚くほど前進できるはずです。

金子智朗『「管理会計の基本」がすべてわかる本 第2版』

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経営管理をする上で簿記の知識は必須ですが、税理士などを目指すのでない限り、細かい仕訳の知識などはわからなくなったときに都度調べればよいです。
それよりは、経営判断をするための数字の使い方を優先的に学んでいくべきです。

そうした会計の分野を管理会計と言います。
ちなみに、簿記などの日常的な業務や決算のために必要な知識は財務会計と言います。

管理会計を学ぶための参考書はいろいろありますが、本書は基本的なところから実際への応用までまんべんなく紹介してくれています。
管理会計を学ぼうと思ったら、まずこの本を手に取るとよいでしょう。

石野雄一『ざっくりわかるファイナンス』

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管理会計の分野の中でも、資金調達や資金繰り管理は非常に大事なものです。
その基本的な方法を学ぶ上で、本書は定評のある参考書です。
自身の経営を評価したり、資金調達が正しい判断なのかどうかを評価したりといった場面はもちろん、金融機関と話をする上でも、本書に書かれているような知識を一通りもっていると有利です。
カタカナで「ファイナンス」と書かれていると少しつきにくい印象があるかもしれませんが、経営者にとって必須の知識として、ぜひ一度は学んでみてください。

『農業簿記検定教科書 2級』

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経営改善をする上でコストカットは非常に大事なことですが、どのように手をつけるかということを考える上では、商品の原価が計算できていなくてはなりません。
一俵の米をつくるのに材料費がどのぐらいかかって、労務費がどのぐらいかかって、……といった原価の内訳を知らなければ、収益性の改善はおぼつきません。
例えば、100円の原価の中で、労務費が60円、肥料費が10円かかっているということが分かったとします。
そうすると、肥料費よりは労務費の方がよほど削減の可能性が高いということが分かりますが、こうした内訳を知らないままに経営改善をしようとしたら、もしかしたら金額が分かりやすい肥料費の削減に注力してしまうかもしれません。

もちろん、できるのであれば両方とも改善に取り組んだほうがよいでしょうが、現実には、改善に取り組むべき経費は無数にあり、すべてに取り組むことは不可能に近いです。
コスト改善に取り組む優先度を決めていくために、原価管理は大変重要な道標となってくれます。

農業簿記検定では、2級から原価計算が範囲に含まれます。
試験問題の数字はかなりデフォルメされていて、実際の現場の数字よりはかなり分かりやすくなっていますが、だからこそこうしたシンプルな事例で原価計算の手法を学んでみてください。

國貞克則『【新版】財務3表一体理解法』

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本書は、会計一般に関して基本書とされているベストセラーです。
内容は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書といった財務3表がどのようにつくられ、どのように相互に関係しているのかということを解説するもので、財務会計の根本的な理解を一歩進めてくれるものです。
経営をする上で管理会計が重要だということを書きましたが、財務会計に関するしっかりとした土台をもっていることも、たとえば決算書を正しく読み解いたり、金融機関や専門家と話をしたりといった場面で大事になります。
経営者としての教養を一段階高めるために、実力がついてきたと思ったら一読することをおすすめします。

上記のような参考書をこなしたら、財務に関しては、一般的な農業経営者よりもかなり先を行く状態になっていると思います。
お金のことを強みとできるように、関心のある分野から取り組んでみてください。

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