前回に続き、Amy Edmondsonの『Right Kind of Wrong』の内容を少し紹介します。
今回紹介するのは、組織が成長する状態になっているかどうかを経営者や管理者がセルフチェックするための質問です。
最近部下から報告を受けた内容を思い出してください。
それらの報告は、以下の項目の左右どちらに当てはまるものが多かったでしょうか?
よい知らせ / 悪い知らせ
前進 / 問題
同意 / 不同意
うまくいっている / 助けが必要
印象のよい回答が左側に、そうでない回答が右側に置かれています。
右側の報告ばかり受け取っているとしたら、問題が山積していると言えるでしょう。
しかし、もし左側の報告ばかりだったとしたら、もしかしたら問題はもっと大きいかもしれません。
よい報告ばかり受け取っているということは、失敗をしていないか、あるいは、失敗が報告されていないということです。
挑戦をしなければ前回紹介したような「賢い失敗」はありえません。
失敗をしていないとしたら、挑戦をしていないということです。
失敗が報告されていないとしたら、失敗を許容し推奨する環境がないということです。
いずれの場合も、原因は心理的安全性が確保されていないことにあります。
心理的安全性が確保されていなければ、人は挑戦できないですし、失敗を共有することもできません。
心理的安全性という言葉は近年注目されるようになった言葉ですが、それが注目される背景には、「挑戦する組織をつくらなければならない変化の時代である」という事情があるでしょう。
失敗を恐れずに挑戦し、失敗したらその失敗を共有して組織としての学びに結び付けることが、成長のために求められています。
失敗の報告がなければ、失敗を受け入れる組織の土壌づくりに取り組んでみるべきです。