会計ソフトにクレジットカードを紐付けるだけで経営が変わる?
最近、ある経営者から大変感謝される出来事がありました。
それは、「会計ソフトにクレジットカードを紐付ける」というシンプルな提案をしたことです。
「そんなこと?」と思う方もいるでしょうし、「どういうこと?」と思う方もいるかもしれません。
すでに実施している方には当たり前の話かもしれませんが、もしまだ取り組んでいないなら、ぜひ検討してみてください。
感謝してくれたその経営者は、もともとIT関連の仕事をしており、後に農業へ参入して独立した方でした。
パソコンには慣れているはずですが、それでも「会計ソフトにクレジットカードを紐付けられる」ことを知りませんでした。
会計ソフト×クレジットカードで仕訳の手間がほぼゼロに
会計ソフトにクレジットカードを紐付けると何が起こるのでしょうか?
クレジットカードでの支払い明細が自動で会計ソフトに取り込まれ、その内容に基づいて自動で仕訳がされます。
例えば、「旅費交通費」「支払い手数料」「通信費」などが自動的に分類されるのです。
人がやることは、以下のような簡単な作業だけです。
- 仕訳が適切かどうかを確認し、間違っていたら修正する。
- 必要に応じて領収書のデータを取り込む。
さらに、多くの会計ソフトでは、一度修正した勘定科目を学習し、次回以降は同じ取引先の仕訳を自動で正しく分類してくれるようになります。
その経営者は、もともと税理士に決算と税務申告だけを依頼していて、年度末から税務申告期限までの2か月間のうちに、事務所に1週間くらいこもって1年分の領収書を必死に会計ソフトへ手入力していたそうです。
年度の後半になってからクレジットカード連携を知ったため、すべてのデータを自動化することはできませんでしたが、それでも次の期からは手作業を数十分の一に減らせると喜んでいました。
なお、このような連携はクレジットカードだけでなく、銀行口座でも可能です。
口座を連携すると、入出金が自動的に仕訳されますし、わざわざインターネットバンキングのページを開かなくても、会計ソフト上で残高を確認することもできます(もしインターネットバンキングを利用していなければ……今すぐ利用をはじめるべきです)。
会計ソフトのデータが最新であれば経営判断が迅速に
会計ソフトの連携の効果は、手間を削減することだけではありません。
経営判断の質と速さにも影響します。
クレジットカードの取引が自動的に会計ソフトへ取り込まれることで、毎月の試算表が自動作成されます。
カード会社のシステム上でデータが見られるまでに数日間のタイムラグはありますが、ほぼリアルタイムで最新の経営状況を把握できます。
多くの経営者は試算表を税理士に依頼して作成してもらっていると思いますが、その場合、税理士が入力したデータしか反映されないため、どうしても最新の数字を把握しにくくなります。
これでは、データに基づく経営判断が遅れてしまう可能性があります。
また、税理士に渡し損ねた帳票があれば、データが不正確になってしまいます。
会計ソフトをクレジットカードや銀行口座と紐づけておくことで、現金での出納以外は、会計情報の正確性が担保されます。
弊社でも、すべての支払いをクレジットカードかネットバンキングの振込に絞ることで、常に最新の試算表を確認できるようにしています(マネーフォワードクラウドを使用しています)。
これは特別なことではなく、今では「当たり前」のことです。
しかし、意外にもこの「当たり前のこと」を知らない経営者がまだまだ多くいます。
会計のデジタル化は、経営分析、経営幹部や後継者への情報共有など、経営改善のさまざまな分野でのスタート地点です。
もしまだ導入していないなら、今すぐ取り組んでみてください。
新しい会計ソフトを導入しなくても、すでにお使いの会計ソフトでクレジットカード連携が可能かもしれません。